【中小企業経営者の心得】支払遅延発生でも会社が潰れにくい理由とは?
今日は、中小企業経営者の心得として、支払遅延発生でも会社が潰れにくい理由について考えます。
今日の論点は以下の2点。
1 ある時払いがゾンビ企業を延命させる
2 支払遅延が発生する際の対処法
どうぞ、ご一読下さい。
1 ある時払いがゾンビ企業を延命させる
新型コロナウイルス感染症拡大以降、企業間物価高も相まって、少なからぬ中小企業の資金繰り余力が低下しています。
ところが、金融機関へのリスケジュールのハードルが低下したことで、肌感覚よりも倒産は少ない状況が続いています。
確かに、金融機関への元本返済猶予は、資金繰り余力の低下をもたらします。
他方、少なからぬケースで、金融機関だけではなく、仕入先や経費支払先に対する支払遅延が発生していることがあります。
かつては、手形・小切手を降り出していたので、一枚の不渡で事実上会社の信用は失墜し、倒産に追い込まれてしまうケースが多くありました。
しかしながら、手形・小切手の流通量が大幅に減少し、地域の手型交換所も全国に一元化されたことで、不渡そのものへのリスクが大きく低減されてしまっています。
手形も小切手も切らないので、言葉は悪いですが、ある意味、「ある時払い」が珍しくなくなっているのです。
大手企業なら支払遅延発生の時点で納品をシャットアウトしますが、中小企業同士のローカルビジネスではそうそうドライに取引を切ることは容易ではありません。
また、同業他社との競合激化によって、取引を解消してしまうと、その穴を埋めるための新規得意先開拓がままならないという切実な事情も無視できません。
ある時払いがまかり通るようになると、本来市場から退出すべきゾンビ企業の延命にもつながるのです。
2 支払遅延が発生する際の対処法
先ほども申し上げましたが、手形・小切手の流通量は減少の一途です。
先日、3メガバンクが紙の手形・小切手帳の廃止を打ち出したことで、地方銀行以下の地域金融機関も追随することが予想されます。
手形・小切手はますますお目にかかれない存在になっていくことは間違いなさそうです。
租税公課の滞納は、国税徴収法(あるいはそれに準ずる)によって、銀行預金や売掛金を差押えることができます。
中でも、売掛金の差押は直接得意先に租税公課の滞納がバレてしまうので、租税公課は優先的に納付しますが、一般債権者への支払が遅れてしまうことになりかねません。
因みに、仕入先や外注先への支払が遅延する場合には、事前に仕入先・外注先にお詫びを入れて、かつ、支払の期日を明確に先方に伝えることが肝要です。
支払の期日を明確にするために、必要なものが「日繰資金繰り表」です。
通常の資金繰り表は月末ベースの月次で作成しますが、日繰資金繰り表は毎日の入出金を想定して、向こう2ヶ月程度を目途に作成することが必要です。
そして、先方と約束した期日には必ず支払をすることが仕入先・外注先との信頼関係維持に必要不可欠です。
同時に、更なる支払遅延を防ぐためにも、取引金融機関各行にリスケジュール(条件変更)の要請を行うべきです。
とにかく、支払遅延発生は明確な約束違反なので、仕入先・外注先に支払遅延をお願いする場合には、ただひたすら誠実に、丁重に対応することが必要なのです。