【中小企業の銀行対策】信用保証協会のカテゴリーを良化させなければならない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、信用保証協会のカテゴリーを良化させなければならない理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点です。
1 信用保証協会の役割
2 保証料率はカテゴリーで決まる

どうぞ、ご一読下さい。

1 信用保証協会の役割

中小企業にとっては、信用保証協会は切っても切れない重要な関係先です。
創業まもない会社はもちろん、財務内容がやや脆弱な会社であれば、メインバンクでさえ入担物件がないような融資先には、プロパー100%というわけにはいかず、信用保証協会の保証付きを前提とした取組スタンスになることは珍しくありません。

このように、中小企業にとっては、重要なステークホルダーである信用保証協会ですが、通常は、中小企業側が信用保証協会と接することは極めて少なく、信用保証協会のスタンスは取引金融機関を通じて知ることになります。
なので、中小企業経営者にとっては、信用保証協会は、知ってそうでよく知らない存在になりがちなのです。

ところで、信用保証協会とは半官半民の信用保証機関で、全国に存在するものです。
具体的には、基本的に都道府県単位に信用保証協会が設置されていますが、例外的に、愛知県には、愛知県信用保証協会と名古屋市信用保証協会が、岐阜県には岐阜県信用保証協会と岐阜市信用保証協会があります。
名古屋市内に事業所があれば、愛知県と名古屋市と両方の信用保証協会を利用することができますが、保証協会の保証残高は通算されますので、例えば、無担保80百万円までとなっている保証限度額は、あくまで両方の信用保証協会の保証承諾額が通算されます。

一説には、愛知県を中心とした東海地方は、地域金融機関における信用保証協会の利用頻度が高いため、県と市に信用保証協会が存在していると聞きます。

信用保証協会の役割とすると、創業間もなかったり、財務体質がやや脆弱で、プロパー資金を調達しにくいような中小企業のために、いわば、保証人になってくれるような存在です。
仮に、信用保証協会の保証先が倒産したり、事実上支払不能の状況に陥った際には、保証協会が金融機関に肩代わりをすることになります。
信用保証協会が金融機関に肩代わりをすることを、「代位弁済」と言います。
債務者である中小企業は代位弁済を受けてしまうと、貸出債権が金融機関から信用保証協会に移り、借入債務は信用保証協会に返済していくことになります。
これが、ザクっとした信用保証協会の役割です。

【中小企業の銀行対策】信用保証協会のカテゴリーを良化させなければならない理由とは?

2 保証料率はカテゴリーで決まる

中小企業が、いざ、信用保証協会の保証付きで取引金融機関から融資を受ける際、融資実行額から差っ引かれるのが信用保証料です。
プロパー融資の実行の際でも、印紙代等が差っ引かれますが、後々金融機関から交付される「計算書」を見た経営者が「意外と保証料てのは高いもんやなあ・・・」とふと気がつきます。
保証料は、前払いで、融資を受ける期間が長ければ長いほど、高くなってしまいます。

それでは、そもそも保証料とはどんなものでどのように決まるのでしょうか。
信用保証協会の保証付きの融資先からの返済が延滞となるなど支払不能になったり、融資先が倒産してしまうと、代位弁済となりますが、代位弁済の際に、保証料はザクっと言ってしまえば、金融機関から貸出債権を買い取る際の原資となるものです。
わかりやすく言えば、保証料は保険料のようなものです。

保証料は保証先によって違っていて、基本的にはちゃんと利益が出ているか(PLで黒字になっているか)と、財務体質は健全か(BS上で費用性の資産や資産性のない資産の有無)という2点で決まります。
保証料は、現進行年度分を信用保証料として費用計上する一方、翌期以降の信用保証料相当額は前払費用として資産計上し、年度毎に当該年度分を費用計上しています。
保証料のレートは、保証料率といって、「カテゴリー」で決まっています。
仮に、簿価ベースのBSが資産超過であったとしても、実態ベースで実質債務超過になっていれば、カテゴリーが下がってしまって、保証料率が上がってしまいます。
保証料率は、保険料と同様、リスクに応じて決まっているわけで、金融機関での債務者区分や信用格付けと同じようなものです。

カテゴリーが低いままで、保証料率が高ければ、リスケジュールを脱して、リファイナンスを実現しようとした際には、ニューマネーが入らないので、高い保証料を自己資金で賄わなければならなくなり、保証料の金額が大きく、自己資金で賄えないとなると、せっかく実現が見えてきたリファイナンスが遅れてしまいかねません。

このように、中小企業経営者は、たかだか保証料と軽視するのではなく、保証料というコストを削減するためにも、PLでしっかり稼ぐことと、BSの健全性を維持することが極めて重要なのです。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へもご一読下さい。

資金繰りや銀行取引に不安を感じている経営者の皆様へ
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