【中小企業の銀行対策】メインバンク変更について回るリスクとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、メインバンク変更について回るリスクについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 一時的な感情でメインバンクを変更してはいけない
2 メインバンクとの信頼関係が中小企業の生命線である
どうぞ、ご一読下さい。
1 一時的な感情でメインバンクを変更してはいけない
非上場でオーナー経営の中小企業にとって、メインバンクは資金調達の源泉です。
仮に、経営改善が必要となった場合であっても、メインバンクが他行と政府系金融機関に対して、旗を振ってもらって、「当行がメインとしてしっかりと支援していきます」と宣言してもらうことで、経営改善を円滑に進めることができます。
メインバンクは、中小企業にとってはなくてはならない大切な存在です。
中小企業とメインバンクの関係は、基本的に組織対組織のものです。
しかしながら、実際には、債務者中小企業経営者とメインバンク担当者との付き合い方が基本です。
組織対組織とはいえ、実際は、ヒト対ヒトとの関係の色が強いのです。
ヒト対ヒトの関係は、即ち生身の人間同士の付き合いなので、当然のことながら、ウマが合う担当者がいれば、イマイチ話が噛み合わない担当者も当たることもあります。
イマイチ話が噛み合わない担当者に当たってしまうと、ぶっちゃけ、中小企業経営者からすればハズレクジです。
話が噛み合わないどころか、「こいつ、一発ぶん殴ったろか!」とカッと頭に血が上ることも起こり得ます。
メインバンク担当者に対して、「こいつ、一発ぶん殴ったろか!」という強い負の感情が出る時には、「さっさと他行にメインバンクを変えてやる! 個人の定期預金も全部預け替えてやる!!」とついつい考えてしまいがちです。
しかしながら、「こいつ、一発ぶん殴ったろか!」と思える担当者にぶち当たっても、安易にメインバンクを変えるような決断をしては絶対にいけません。
そもそも、メインバンク担当者は、長くて4年半、早ければ3年程度で、転勤や係替えで変わっていきます。
「こいつ、一発ぶん殴ったろか!」と思える担当者にぶち当たった時には、大きく息を吸い込んで気分を落ち着けて、「はよ、担当者が転勤していきますように」とひたすら祈ることが肝要なのです。
大人気ないような諍いは避けて、当たり障りなく接することが必要です。
2 メインバンクとの信頼関係が中小企業の生命線である
そもそも、多くの中小企業の場合、メインバンクとのお付き合いは、創業当時以来というケースが多いように見受けられます。
業歴が長くなればなるほど、常に百戦百勝で勝ち続けてきた中小企業は皆無で、もしかすると窮地に立たされた時、メインバンクが後ろ向き資金を支援してくれたことがあるかもしれません。
新型コロナウイルス感染症拡大期には、いち早くコロナ資金に対応してくれたかもしれません。
上場企業と違い、非上場のオーナー経営の中小企業にとっては、資金調達の肝はメインバンクにかかっているといえます。
サブ行以下や、政府系金融機関は、資金調達の補完的な存在です。
信用保証協会の保証残が多く、担保も出していて、お客様からの入金が集中していて、給振・総合振込を行なっているメインバンクを些細なことで変えることは、中小企業にとってはリスクが大き過ぎます。
中小企業経営者は、ウマの合わないメインバンク担当者がいたとしても、メインバンクが資金調達の肝であることを認識して、メインバンクとの信頼関係をしっかりと構築していく必要があるのです。