【中小企業の銀行対策】安易な補助金・助成金頼みがはらむリスクとは?
今日は、中小企業の銀行対策として、安易な補助金・助成金頼みがはらむリスクについて考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 補助金・助成金は意外と高コスト資金である
2 資金調達の大本命は金融機関から借入である
どうぞ、ご一読下さい。
1 補助金・助成金は意外と高コスト資金である
補助金や助成金は、様々な制度が整備されていて、中小企業にとっては、重要な資金調達源の一つです。
補助金・助成金は、コロナ禍では一気に制度が拡張されましたが、コロナ禍の終息とともに、徐々に縮小傾向にあるようです。
補助金・助成金に加えて、クラウドファンディングも盛んに行われています。
確かに、補助金、助成金に加えて、クラウドファンディングが拡充されたことによって、中小企業にとっては、資金調達の道が広がったことは間違いありません。
一方、自社で、補助金、助成金、クラウドファンディングの手続きを全て自前で行える中小企業はそう多くはありません。
コンサル業者さんや行政書士さんに手続きをお願いするケースが多いように見受けられます。
ところが、コンサル業者さんや行政書士さんへの報酬が相応の金額に上ることが多いため、手元に残る金額が想像以上に削られてしまうこともなきにしもあらずです。
特に、クラウドファンディングの場合、コンサルさんへの支払い手数料がそこそこ高いことに加えて、寄付にご協力頂いた一般の皆様方への返戻金負担も軽いとは言えません。
クラウドファンディングは、貸金業の範疇ではないので、金利の規制の対象でもないので、支払手数料はそこそこの金額になってしまうようです。
総じて、補助金、助成金やクラウドファンディングは、意外にも高コスト資金でもあるのです。

2 資金調達の大本命は金融機関から借入である
補助金、助成金がもたらすリスクとして、補助金、助成金自体が、手段では目的化してしまうことが挙げられます。
つまり、補助金、助成金をもらうために、何をするかという点にフォーカスを当ててしまうのは非常に危険です。
本来の補助金、助成金は、新たな取り組みや施策を実行に移す際に、その取り組みや施策にバチっとマッチする場合に使うべきです。
さらに、危険なことは、金融機関からリスケジュールを受けたことで、金融機関からの資金調達が難しくなった際に、補助金、助成金で資金調達しようとすることです。
あくまでも、資金調達は事業を展開するのに必要な手段なのであって、目的では決してないのです。
このように、資金調達のためだけに、補助金、助成金やクラウドファンディングを使うのは非常に危険です。
資金を調達することを第一に考えてしまうと、本来取り組むべきでない本業から乖離した事業を無理やり行おうとすることも起こりうるため、本末転倒になってしまいます。
そもそも、補助金・助成金は、書面の体裁が整っていることが要件ですが、金融機関の融資の可否は、稟議手続きによって定量的な要素だけではなく、経営者の資質や取引先等定量的な要素も審査の対象なので、補助金、助成金よりも金融機関融資の方がずっと厳格な審査が行われています。
また、外回りの担当者が日頃から融資先をフォローしていることからも、金融機関の融資は決して形式的なものではないのです。
中小企業経営者は、資金調達の手段はあくまでも金融機関借入が王道であることを認識して、補助金、助成金やクラウドファンディングはあくまでも補助的な資金調達手段であることを肝に銘じる必要があるのです。