【中小企業のコロナ対策】コロナ以前の条件変更先がコロナリスケをしても効果が薄い理由とは?

今日は、中小企業のコロナ対策として、「コロナ以前の条件変更先がコロナリスケをしても効果が薄い理由」について考えてみます。

今日の論点は以下の2点。

1 コロナとは関係なく元々通常返済ができていない先が相当数存在する
2 コロナ以前の条件変更先が生き延びるためには異次元の事業再生が必要である

どうぞ、ご一読下さい。

1 コロナとは関係なく元々通常返済ができていない先が相当数存在する

一体、世の中の中小企業の間で、返済の条件変更(リスケジュール)が珍しくなくなったのはいつのことからだろう?
最近、そんな疑問を持つようになりました。
今から遡ること、鳴物入りで発足した民主党政権で内閣府特命担当大臣(金融)に就任した亀井静香氏の「中小企業はどこも可哀想なんだから、返済を止めてあげればいいじゃないか」の鶴の一言で成立した中小企業金融円滑化法(2009年12月施行、2013年3月末期限切れ)の下、中小企業の金融機関への返済の条件変更が金融機関の中小企業向け融資の一つの潮流になったことは間違いなさそうです。

中小企業金融円滑化法は期限切れとなった後も、「融資先からの条件変更緩和要請には柔軟に応じるように」という金融庁、財務省各地方財務局からの行政指導によって、事実上、円滑化法は実務的に継続されているのが現実です。

そして突然、中小企業、中でも中小サービス業を襲ってきたのが新型コロナウイルス感染症でした。
コロナの影響を受けた中小企業の事業継続のため、コロナ資金が一部、条件変更先にも実行されました。
多くのケースでは、条件変更先へのコロナ資金は、コロナ前からの既往借入金とは別に、優先弁済の対象となるケースが多くなっています。

コロナ前からの既往借入金を条件変更していた会社の中には、もう10年以上もまともに返済ができておらず条件変更が継続されているケースが散見されます。
その上、コロナ資金のニューマネーが上乗せとなっていることから、コロナ前からの条件変更先にはより一層の過剰債務を負っているのが現実なのです。

他方、コロナ前には「正常先」であった中小企業が本当にコロナで大変だというケースでは、経営者自身のモチベーションによって、「なんとかせにゃならん」と実際に試算表や決算書でも改善の成果が顕在化してきて、場合によっては売上高がコロナ前を超えているような会社もちゃんと存在します。
コロナ前「正常先」は元々、月額1,500千円位の元本返済をしていたので、元々のポテンシャルが高水準です。
一方で、コロナ前でさえ、元本返済ができない、元本返済をしていても月額100千円とかの場合ですと、アフターコロナの中で、コンペティターと太刀打ちできまないゾンビ企業となってしまいます。
このような状況を放置しておくと、近い将来、ゾンビ企業の倒産が増加しかねません。

2 コロナ以前の条件変更先が生き延びるためには異次元の事業再生が必要である

それでは、コロナ以前から条件変更が半ば常態化している中小企業が生き延び、次世代に残せる会社たり得るために必要なことはどのようなことでしょうか?

コロナ以前から条件変更が常態化している中小企業経営者でも、条件変更の更新時期や、特例リスケから収益力改善計画への移行のタイミングでは、「頑張ってアクションプランやってくわ」と力んでくれます。
しかしながら、残念なことに、条件変更が半ば常態化していると、喫緊の経営課題を平気で先送りしたり、アクションプランを忘却の彼方に忘れ去ってしまいます。

条件変更が常態化している中小企業がアフターコロナを生き抜き、リファイナンスを実現するためには、経営者の並大抵の努力では足りません。
どこかの国の総理ではないけれど、異次元の改革が必要です。
リストラは必至で、肉を切らせて骨を断つ位の抜本的な外科手術が必要です。
アフターコロナで経営改善に進捗が見られるお客様中小企業を見ていると、コロナ前の経験則が通じないことを前提として、その経験則を全てご破算にして、ゼロベースでアクションプランを立案し、実行に移すことができているのが特徴的です。

コロナ前から条件変更が半ば常態化している中小企業経営者の皆さん、ここからが真剣勝負の局面です。
「異次元の・・・」的な能書は不要なので、過去の成功体験を全て捨て去り、リストラを断行、ゼロベースでアクションプランを立案し、実行に移すことが生き残りへの最後のチャンスなのです。

【中小企業のサバイバル】社会に貢献できていない会社が赤字になる理由とは?も併せてご一読下さい。

公式サイト「ポストコロナの中小企業の創造」もご覧下さい。

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