【中小企業の銀行対策】2期連続赤字がもたらす弊害とは?
今日は、中小企業の銀行対策として、2期連続赤字がもたらす弊害について考えます。
今日の論点は、以下の2点です。
1 2期連続赤字で取引金融機関のスタンスが渋くなる
2 2期連続赤字がもたらす深刻な弊害
どうぞ、ご一読下さい。
1 2期連続赤字で取引金融機関のスタンスが渋くなる
原材料高と人手不足によって、中小企業を巡る収益環境は厳しさを増しています。
ほとんどの中小企業は、完成品(製品)を海外に輸出していない一方、間接的にせよ、輸入された原材料を仕入れています。
このため、中小企業の大半は、為替差益の恩恵を受けないばかりか、原価高に悩まされています。
とはいえ、「原材料高やから、赤字でも仕方がない」というわけにはいきません。
現実に、1期ならとにかく、2期連続赤字となると、債務者区分が西上先からその他要注意先に転落する可能性が高まり、取引金融機関は、担保や保証で保全されていない実質信用部分に最大10%程度の引当を積むことになりかねません。
実質信用部分に最大10%程度の引当を積む(損失が発生する)となると、現場の営業店(支店や営業部等)では「痛い」ので、金融機関の取り組みスタンスとしては、渋くなってしまいます。
ニューマネーの要請があった場合には、信用保証協会の保証が前提となったりして、資金調達に黄色信号が灯ります。
また、信用保証協会の保証がついている当座貸越の極度の更新ができなくなってしまう懸念が高まります。
当貸をすぐに返済することにはなりませんが、手形貸付で借り換えて、3ヶ月を目途として書き換えを行うことになります。
与信は硬直化して、資金調達の自由度が狭まってしまいます。
このように、2期連続赤字によって、取引金融機関の取組スタンスは渋くなってしまうのです。
2 2期連続赤字がもたらす深刻な弊害
2期連続赤字がもたらす実質的な深刻な弊害についてさらに掘り下げてみます。
2期連続赤字で、かつ簡易CF(=経常利益ー法人税等+減価償却費)がマイナスになってしまうと、単純にキャッシュが減少します。
キャッシュの減少額は、簡易CFのマイナス分と取引金融機関への元本返済額を合わせたものとなります(簡易CFはあくまでも簡易的なもの)。
キャッシュが減少して支払に支障が出かねない事態となれば、追加で資金調達するか、資金調達が困難であれば、リスケジュールを選択せざるを得なくなります。
さらに、取引金融機関からすると、2期連続赤字ということで、経営者が収益改善への意欲が乏しいようにも見えてしまいます。
「この社長、もうやる気ないんやな」と金融機関から烙印を押されてしまうと、金融機関各行の協調体制が維持できなくなる可能性さえあるのです。
このように、2期連続赤字がもたらす弊害は、取引金融機関の取組スタンスを筆頭として、深刻です。
中小企業経営者は、赤字決算に陥った時こそ、取引金融機関に対して、定期的なモニタリング(業況報告)を欠かしてはなりません。
赤字局面だからこそ、取引金融機関への説明責任を果たす必要があるのです。