【中小企業の銀行対策】経営者個人の住宅ローンと会社の銀行取引との関係性とは?
今日は、経営者個人の住宅ローンと会社の銀行取引との関係性について考えます。
今日の論点は、以下の2点。
1 住宅ローンは会社のメインバンクで組むのが筋である
2 会社の銀行取引と経営者個人の住宅ローンは一体である
どうぞ、ご一読下さい。
1 住宅ローンは会社のメインバンクで組むのが筋である
中小企業経営者と言っても、自宅に帰れば、その家のパパであり、夫です。
会社の舵取りを担っている経営者だからこそ、自宅は賃貸ではなく、マンションか一戸建てかを問わず、持ち家を持ちたいと考えるのが自然です。
中小企業経営者であっても、よほどのお金持ちでない限り、自宅を取得する時には、住宅ローンを組むのが普通です。
ローン控除があることからも、住宅ローンを組むのが自然です。
ところで、住宅は、経営者であっても、サラリーマンであっても、大きな買い物です。
住宅ローンは、ほとんどのケースで返済期間が35年という長期に渡るため、住宅ローンをどこで組むかというのは、住宅ローン債務者にとっては大きな命題です。
普通に考えれば、中小企業経営者が住宅ローンを組む際には、会社のメインバンクの住宅ローンを利用するのが「筋」というものです。
不動産の全部事項証明書は数百円の手数料を支払えば誰でも取得できるので、仮に、会社のメインバンクの担当者が、経営者の自宅不動産の全部事項証明書を目にして、住宅ローンの普通抵当権の債権者がフラット35等の住宅金融支援機構ならいざ知らず、民間の他の金融機関の抵当権が設定されていたら、メインバンク担当者は、心穏やかではいられません。
仮に、適用金利が他行の方が安かったとしても、住宅ローンは会社のメインバンクで組むのが筋なのです。
2 会社の銀行取引と経営者個人の住宅ローンは一体である
中小企業経営者個人の住宅ローンをメインバンクで組むべき理由は、メインバンク担当者の心証の問題だけにとどまりません。
通常、中小企業向け融資の審査に際しても、最も重要視されるのが、「定量的要素」です。
「定量的要素」とは、決算書、試算表、資金繰り表といった文字通り、数字で計れる要素のことです。
「定量的要素」だけではなく、経営者の力量や資質、会社が持っている特許や技術、会社の強みといった「定性的要素」が加味されます。
加えて、経営者個人の取引も重要視されます。
役員報酬が経営者個人の普通預金に入金されていて、普通預金の平残(平均残高)が一定程度あること、メインバンク系列のゴールドカードを持っていること、NISAの取引があること、そして、住宅ローンが出ていることなどなど、経営者個人の取引を含めて、会社の与信判断は総合的に行われています。
さらには、会社の業績が芳しくなり、資金繰りが厳しくなった場合で、会社の借入金をリスケジュールせざるを得なくなった際には、メインバンクの住宅ローンであれば、住宅ローンの返済額を減額することも比較的スムーズです。
個人の住宅ローンの返済額を減額することで、役員報酬を削減することができ、メインバンク他、他行のリスケジュールへの理解が得られやすくなり、経営改善を進めやすくなる効果も期待できます。
このように、経営者個人の住宅ローンと会社の銀行取引は一体です。
会社の銀行取引だけではなく、個人の住宅ローンや資産運用も相談できるようなメインバンクとの信頼関係構築が必要なのです。