【中小企業の銀行対策】支払の優先順位を間違えてはいけない理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、支払の優先順位を間違えてはいけない理由について考えます。

今日の論点は以下の2点。

1 優先債権は溜めてはいけない
2 金融機関へのリスケジュールを恐れてはいけない

どうぞご一読下さい。

1 優先債権は溜めてはいけない

今日は、日銀政策決定会合が開催されて、ついに長期金利が1%を超えていく「金利のある世界」がすぐそこまで迫ってきました。
バブル期と比較してはいけないし、バブル期はそもそも異常でしたが、今のゼロやマイナスの金利に慣れきった日本人が世界標準からずれているのです。
「金利のある世界」はむしろ「普通の世界」です。

しかしながら、ゼロやマイナス金利から「金利のある世界」に移行して行くのに当たって、色々な歪みが出てくるのは否めません。
いくら長期金利が少しばかり上がるといっても、日米の金利差は如何ともしがたくて、近未来は、物価高と円安が同時進行していくことが懸念されます。

消費者物価の上昇が新聞紙上で盛んに見受けられますが、原価のある商売をしている経営者は、原材料価格の上昇には辟易とされていることでしょう。
コロナ資金を調達して、信用保証協会の追加の保証承諾もいただけないとなると、追加の資金調達が容易ではなくなります。
原価が高くなると、資金繰りが圧迫されます。
そうなってくると、「どれから払うべきか」と中小企業経営者は経理担当の奥様と難しい話をしなければならなくなります。

ところで、そのようなケースで、よく散見されるのが、税金や社会保険料をついつい滞納してしまうことです。
税金や社会保険料は、常々、顔を合わせることがないため、ついつい、支払いを後回しにしてしまいがちです。

ところが、税金や社会保険料を滞納するのは、経営者として一番やってはいけないことです。
税金や社会保険料は、「国税徴収法」もしくは「それに準ずる」形で、滞納には預金の差押やお客様への売掛金の差押など、厳しい態度で臨んできます。
何があっても、税金や社会保険料を滞納してはいけません。
補助金を貰おうとしても、租税公課の滞納で補助金がもらえなくなることもあります。
中小企業・小規模事業者が国家権力を敵に回すのは絶対にやめましょう。

2番目に大切な支払いが人件費です。
給与遅配は、絶対に起こしてはいけません。
給与遅配が起こると、北出の経験から会社の秩序が崩壊します。
経営者が「定時に出社すること」と業務指示を出しても、「給料まだ、貰ってへんのですけど」と逆襲されたら、ぐうの音も出ません。

租税公課や人件費は「優先債権」です。
破産しても優先的に回収されますし、人件費は国が立て替える制度もあります。

優先債権は絶対に溜めてはいけない、のです。

2 金融機関へのリスケジュールを恐れてはいけない

北出が時折お見受けするのが、税金を溜めているのに、銀行返済を通常に行なっているケースです。
北出は、そういう時、躊躇なく、「社長、支払いの優先順位、間違ってます!」。

一方で、そういう経営者に限って、「いや、銀行に迷惑、かけられへんのや」とおっしゃるわけです。
それより、国に迷惑かけちゃだめです。
そもそも、日本国憲法に国民の義務として、「納税の義務」と書いてあります。
北出に言わせれば、納税しないのは憲法違反です。
絶対にダメです。

それより、「やばい、資金繰りがつかへん」となった時には、迷わず、メインバンクに走って、「返済止めてくれ」とまずはお願いするのが正解です。

もちろん、「借りたカネは返さねばなりません」から、一旦止めて、収益改善を図って、叱る後に返済を再開、徐々に返済額を増加させていって、最終的にリファイナンスを実現していくのは今時の王道です。

ただし、丸腰で「返済止めてくれ」と言われた金融機関担当者も困ってしまうので、直近の試算表と向こう1年間の資金繰り表(これが最高に大切)を作成して、金融機関に提出します。
返済を止めるに際して、返済を止めたら、資金繰りが回ることが絶対です。
返済を止めて、半年後に「足らんから追加で融資をお願いします」は、よほどの事情がない限り、通りません。
アクションプランにリスケジュール後に取り組んでいる収益改善策を明確化して、それに基づいて行動していく、これだけです。
また、今年度中であれば、中小企業活性化協議会に入ってもらう収益力改善計画の制度も生きています。

今時のまともな金融機関は、コロナを経て、リスケジュール対応には慣れています。
金融機関といっても、恐れる必要は全くありません。

中小企業経営者は、まだまだ原材料価格が上がる、原価も上がることを念頭に置きながら、万が一のリスケジュール要請のため、平時から金融機関、中でも、メインバンクとの信頼関係をしっかりと築く必要があるのです。

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