【中小企業の収益改善策】売上の山を削って、谷を埋めることの重要性とは?

1 売上の「山」は、コストアップを誘発する

今日は、売上の山を削って、谷を埋めることの重要性について考えます。
業種、業態によりますが、多くの中小企業では、「繁閑の差」が発生してしまいます。
製造業ではまだまだ半導体不足の影響が残って、納期が押してしまっているため、材料が遅れながらもまとまって納入されると、「一気に作れ!!」と工場長が現場にハッパをかけます。
納期遵守は、中小製造業にとっては品質保証と同様、生命線なので、どうしても「残業してでもやり切ろう!!」となってしまいます。
品質を担保しなければなりませんし、そもそも親会社のお許しを頂いていないような外注業者に生産委託するわけにもいかないので、社員は残業続き、既存の外注業者も突貫作業となるため、労務費も外注費も平時よりも高止まりしてしまいます。
建設業であれば、2月、3月は特に公共工事のピークを迎えるため、慢性的な人手不足以上に手が足りなくなります。
本体の社員といつもの外注業者では工期に間に合わなくなるため、割高な「応援」に頼らざるを得なくなります。
繁忙期というのは中小企業にとっては嬉しい悲鳴であると共に、製造原価(完成工事原価)を押し上げる要因となります。
当初想定していた工事粗利益を確保できなくなると、引当で金融機関から調達した短期借入金の返済にも支障が出かねません。
原材料高、燃料コストアップのご時世で、想定していた当初の粗利益を確保するのは容易なことではなくなっています。
現場の管理者だけではなく、経営者自らが製造現場や建設現場をシビアに管理する必要が出てきます。

2 山を削り、谷を埋めることへの試行錯誤を始めよう

コストアップを誘発する売上の「山」はどのようにカットすれば良いのでしょうか?
「そんなもん、簡単にできるか!」という声が聞こえてきそうで、なかなか難しい話ですが、特に経営者は受注の取り方に工夫を凝らす必要がありそうです。
原材料高の中、中小製造業は、親会社や協力業者と粘り強く話し合いを持つことが求められます。
手間のかかるような少量多品種への対応については、単価の交渉を怠ってはいけません。
閑散期に受注できるような追加アイテムへの新たな対応が必要です。
建設業であれば、年度末に現場が集中する公共工事へのウェイトを下げていくために、例えば、数百万円単位の比較的手離れの良いリフォーム工事への参入も視野に入れるのも効果がありそうです。
閑散期は、どこも暇なので、職人や応援の手配が比較的容易です。
「山」をカットして、「谷」を埋める最大の効果が資金繰りの平準化を実現できることです。
大口の受注はありがたいのですが、原材料費や外注費の支払が先行して、短期資金を金融機関から調達する必要が出てきます。
業界によっては、一年分の在庫を一時期に仕入れて、調達した在庫を1年かけて売っていくというような商いもありますが、そのようなケースの仕入資金の調達は会社の規模からすると、どうしても大きな金額になってしまいます。
在庫の換金が進むことが短期借入金を適宜内入れていきますが、在庫が残ってしまうと調達した短期借入金を返済することができなくなり、在庫の健全性に疑義が出てくるだけではなく、慢性的な借入過多を誘発します。
このような商いはリスクが大きく、金利負担だけでも無視できません。
「山」を削って、「谷」を埋めることは容易なことではありませんが、できることは今から試行錯誤して始めていくことが大切です。
試行錯誤の中から、効果が上がるものが出てくれば、めっけものです。
中小企業経営者は、コストアップの抑制と資金繰りの平準化を実現するために、「山」を削り「谷」を埋めることで、季節変動要因を除去していくことを経営課題と位置付け、課題解決に取り組んでいく必要があるのです。

【中小企業の銀行対策】メインバンクには「安心感」が必要である理由とは?も併せてご一読下さい。

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