【中小企業の改革施策】経営者に加えて、営業担当者が簿記3級を取得するメリットとは?
1 簿記こそ、会社経営の基本のキである
今日は、中小企業に於いて、経営者はもちろん、営業担当者が簿記3級を取得するメリットについて考えることにします。
中小企業経営者にとっては、決算書、試算表、資金繰り表、場合によっては経営改善計画書などなど、会社経営とは数字との闘いでもあります。
北出が作成する経営改善計画書であればシート「計数計画詳細」、収益力改善計画であればシート「月次損益・資金繰り予定表」は、ひたすら数字の羅列なのですが、数字の羅列をサラッと流してしまう経営者と、セルの相関関係からどのように未来の数字が導かれているのかについて強い関心を示す経営者とで、ぱっちりと別れます。
数字の強い関心を示す経営者ほど、経営改善の進捗が順調に推移することを北出は実感しています。
重要なことは、人間は、行動を起こす際、第三者から強制されるのではなく、自ら主体的に行動そのものに意味を見出すことで、結果を追求する傾向にあります。
さらに言えることは、上記のようなシート「計数計画詳細」や「月次損益・資金繰り予定表」を読みこなすのにより有効なスキルが簿記であることは間違いのないことです。
複式簿記を知ることによって、会社の経営がより分かりやすくなり、儲かる会社、キャッシュを残せる会社を作ることができます。
簿記は、会社経営の基本のキでもあるのです。
将来的には、会社を起こす時、あるいは事業承継をする際に、経営者となるのに必要な基本的なスキルを身につけるため、「経営者検定」のような国家資格を作って、その中に簿記・会計に関する問題も盛り込むことができれば、倒産や不用意な廃業を相当程度排除できるのではないかと考えています。
2 営業担当者にも簿記を学ばせるメリットについて考える
先ほども申し上げた通り、経営者が簿記のスキルを獲得することによって、儲かる会社、キャッシュを残せる会社を作ることができます。
この流れを経営者だけにとどめておくのはかなり惜しい話で、特に営業担当者が簿記の知識を身につけることによって、会社を大きく変えることができるはずだと北出は期待しています。
具体的には、卸売の会社を想定して日商簿記3級程度の知識があれば、商品を仕入れて在庫が増えて、仕入先に買掛金を支払うことでキャッシュが減る、一方、営業担当者として、商品を納品して先方の締め日支払日で請求書を出して、売上高と売掛金が計上され、売掛金を半金半手で集金して売掛金の50%がキャッシュが増える、振出日起算で3ヶ月サイトのの受取手形がキャッシュになるのが90日後となるという日常的な営業活動について、簿記を知った営業担当者の見える姿が大きく変わることは間違いありません。
社長や営業部長から、「はよ、集金して手形を頂戴して来い」という業務指示を受ける合理的な理由を営業担当者は見出すことができます。
そもそも、取引をするのに当たって、お客様からの支払条件についてしっかりと詰めなれば理由についても営業担当者が納得できるはずです。
さらに言えば、営業担当者ベースで、長期未収金や未収入金を発生させてはいけない理由について腹落ちさせることができるに違いありません。
営業担当者全員が簿記を知ることで、キャッシュを増やすという経営課題を解決できる可能性が高まるだけではなく、営業担当者自身に経営者脳を身につけさせることができるかもしれません。
中小企業経営者の皆さん、会社を改革するきっかけに、日商簿記3級取得を今期の営業担当者への業績評価項目に加えてみてはいかがでしょう。