【中小企業の銀行対策】消費性ローンを会社の運転資金に充当してはいけない理由とは?

1 会社と個人を厳格に分別する

今日は、会社の運転資金に、代表者個人が調達した消費性ローンを充当してはいけない理由について考えてみます。
北出は、常に現場主義なので、お客様の会社の経営者と会社の経営改善を進めていくというスタイルを貫いていますが、時折、びっくりするような事案に遭遇することがあります。
具体的にどこの金融機関とは言いませんが、会社の資金繰りが詰まってきた中、信用保証協会の保証が限界に達した時に、とある金融機関の担当者から、「社長個人のローンがありますので、それで対応させて下さい」などいう具合の話が持ちかけられる事態が発生しました。
資金繰りが詰まってくると経営者は心理的な余裕を失ってしまうので、とにかくどんな形でもいいから資金を調達したい一心です。
個人で消費性ローンを組んで、その資金を代表者個人が会社に転貸しするという具合なのですが、これには大きな、というより重大な欠陥と問題が内包されています。
もちろん、会社の資金繰りをつけるために、金融機関からの資金調達ではなく、経営者が蓄えてきた貯蓄を会社に貸し付けることに大きな問題はありません。
金融機関側からすると、オーナー経営者からの借入金は資本性を認めるので、準・自己資本の扱いです。
会社によっては、会社を役員報酬で大赤字にしておいて、代表者個人がしっかりと資産形成しているケースもあります。
代表者個人が会社に資金を貸し付ける場合、年率2%とか3%程度の利息を取れば、市中の金利からすればむしろ代表者個人の資産運用として有効です。
しかしながら、繰り返しになりますが、代表者が消費性ローンを金融機関から売り込まれて、それを会社に転貸しするのはいくつかの理由からルール違反です。
なぜ、代表者が消費性ローンで調達した資金を会社に転貸しすることが問題なのか、次に掘り下げます。

2 ルール違反を犯す金融機関とは縁を切るべきである

代表者が消費性ローンで調達した資金を会社に転貸しする問題を一つずつ検証していきます。
一つ目が、「資金使徒違反」です。
「資金使徒」とは呼んで字のごとくで、お金の使い道のルール違反です。
そもそも、個人の消費性ローンは、事業資金に充当してはいけないという大前提があります。
金融機関側が会社の資金に消費性ローンを勧めるのは、明らかに資金使徒違反です。
2つ目が、代表者個人が消費性ローンを調達することで、代表者個人の個人信用情報が汚れてしまうことです。
近い将来、代表者個人が住宅ローンを組もうとする際に、住宅ローンの審査が通らなくなる可能性が高まります。
代表者個人のライフプランが狂ってしまうリスクが存在します。
3つ目が、金融機関の「保全最優先」の姿勢です。
信用保証協会の保証がついていれば、最悪責任共有部分20%の貸倒で済みますが、保証協会が保証を下せずプロパーにて対応となれば、特に、体力のない金融機関はプロパー資金での対応が難しくなります。
そこで、金融機関が保証会社の保証がついている個人向けの消費性ローンの登場で、金融機関側はノーリスクの資金となります。
4つ目が、他行との協調体制が崩れてしまうことです。
特に、メインバンクが個人の消費性ローンで対応するとなると、以降、政府系金融機関を含めた他行がメインバンクのスタンスを問題視して、取引金融機関全行の協調体制が維持できなくなってしまいます。
5つ目が、会社と代表者個人との間の利益相反の問題です。
代表者個人が調達した消費性ローンの返済原資は、会社からの役員報酬となりますが、役員報酬の増額が難しい場合、個人の返済原資を確保するため、会社から代表者個人に貸付金や仮払金といった資金流出が発生してしまいます。
これは、会社と代表者個人との利益相反行為に他ならず、取りようによっては、代表者の会社に対する背任行為になりかねません。
このような金融機関のルール違反は、いずれ金融庁、財務局検査や日銀考査で問題となり、危険金融機関として金融当局にマークされることが予想されます。
コンプライアンスが声高に叫ばれる昨今においても尚、平気でルール違反を犯すような金融機関を間違ってもメインバンクにしてはいけませんし、早々に縁を切る必要があります。
新型コロナウイルス感染症が概ね社会に根付き、アフターコロナの世の中であっても、依然として資金繰り余力に乏しいサービス業の中小企業は少なくありません。
しかしながら、コロナで苦しむ中小企業経営者は、この後に及んでは、追加の資金調達ではなく、自己資金で回るようにビジネスモデルを再構築し、既往資金に加えて、コロナ資金の返済に耐え得る会社への改造が急務なのです。

【中小企業の銀行対策】経営者自身の個人信用情報を汚してはいけない理由とは?も併せてご一読下さい。

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