【中小企業のサバイバル】同業他社、異業種とアライアンスを結ぶ必要性とは?
1 アフターコロナで、中小企業を含めた再編は加速する
今日は、中小企業のサバイバル策として、同業他社、異業種とアライアンスを結ぶ必要性について考えてみることにします。
コロナの影響が概ね収束し、社会全体がコロナ前に回帰しようという中、競合するコンペティターとの競合も激化する様相です。
飲食業でいえば、空いていたテナントに新規出店が進み新規参入が相次ぐようになり、既存の飲食業を脅かす存在になってきます。
他方、コロナ禍で営業自粛を余儀なくされた既存の業者は、コロナ資金の相次ぐ資金調達によって過剰債務に陥っています。
コロナ資金による過剰債務で既存業者は、コロナ資金と既往の借入金の返済負担によって前向きな設備投資に手が回らず、守勢を強いられています。
明かなにコロナ禍とは見える風景に変化が出てきました。
そうは言っても、深刻なコロナ禍を乗り切った既存業者には、コロナ前からの一定の顧客基盤があることも事実で、残存者利益の類の強みを持っていることも見逃せません。
このため、業種、業態を問わず、中小企業経営者は、既存の事業領域に固執するだけではなく、同業他社、場合によっては異業種とのアライアンスを視野に入れる必要性が出てきました。
同業他社や異業種とのアライアンスは、自社の強みで相互に補完関係を作ることによって、ウィンウィンの関係構築ができるかもしれません。
また、弱っている同業他社を、資金が潤沢な同業他社がM&A等によって傘下入りさせるような救済型再編も今後増えてことは間違いなさそうです。
中小企業経営者は、自社の強みを活かして事業を未来に残していくためにも、形態にこだわっている場合ではないのです。
2 同業他社、異業種とのアライアンスが事業承継へのきっかけになる可能性も
次に、同業他社、異業種とのアライアンスと事業承継の関係について考えてみます。
次世代に事業承継を目指す中小企業l経営者の不安は、「向こう10年、20年先、ホンマにうちの息子に任せて大丈夫かいな」というのが本音のところです。
アフターコロナで、業界再編が進んでいく中、中小企業が単独で存続していくためには、相当な覚悟とイノベーションが必要です。
事業承継の一環として、「いっそ、力のある会社に任せてしまった方が良いかもしれぬ」ということで株式譲渡によるM&Aというお話になりがちですが、これまで家業としてきたオーナー経営者とすれば、株式譲渡というのは、おいそれと容認し難いというのもよくわかる話です。
このため、いきなり資本のお話なのではなく、資本の投入を伴わない同業他社や異業種との業務提携という選択肢も十二分にあり得ます。
あるいは、買う側からすればなかなか承認し難いのでしょうが、拒否権を伴わない33%未満の少額出資も排除すべきではありません。
相互の弱みを補完する形での同業他社、異業種とのアライアンスが実現できれば、10年先、20年先を見越した前向きなアライアンスになり得ます。
もしかすると、資本の異動を伴わないような同業他社、異業種とのアライアンスの実現は、創業者の最後の大仕事になるかもしれません。
単純な同業他社との連携だけではなく、6次産業のような業種、業態を広く巻き込んだアライアンスは、思わぬシナジー創出が実現できる可能性もあります。
アフターコロナでの本格的な経済活動の復活は、まだまだ初期段階です。
中小企業経営者は、アフターコロナだからこそ、これまでの前例踏襲を排除して、同業他社、異業種、異業態、6次産業的なアライアンスを含めて、巨大資本への依存だけではなく、様々な可能性を排除することなく、次世代に残せる中小企業を創造する必要があるのです。