【中小企業の銀行対策】決算書に出てこない定性的情報が重視される理由とは?
今日のブログネタは、中小企業の銀行対策として、決算書に出てこない定性情報が重視される理由ついて考えてみます。
今日の論点は2点。
1 定量的情報が重要なのは当たり前
2 中小企業向け融資の決め手は経営者の資質である
どうぞ、ご一読下さい。
1 定量的情報が重要なのは当たり前
金融機関から見て、融資先である中小企業が健全であるか否かを判断される第一の要素が「定量的要素」です。
ここで言う「定量的要素」の典型例が
① 決算書
② 試算表
③ 資金繰り表
といった数字で会社の価値を推し量ることができる要素です。
①決算書は、前期以前の会社の「通信簿」であり、②試算表は、直近の会社の「カルテ」であり、③資金繰り表は会社のビジネスモデルを「お金の流れ」で表現したものです。
①も②も③も、金融機関のベテラン審査マンだけではなく、新入行員であっても融資先の良し悪しをある程度判断できるものです。
融資先の中小企業は基本的に営利企業であって、事業を継続していくことが前提となっているはずなので、利益が出て、財務も健全であると言うのが金融機関としては教科書的な与信判断です。
当たり前ですが、中小企業経営者は、常に利益を出し、財務を安定化させる努力を継続することが重要であることは言うまでもないことです。
金融機関の与信判断に際して、このような「定量的要素」が占める割合は概ね7割程度です。
「定量的要素」が金融機関の与信判断において重要なポジションにあることは間違いありません。
2 中小企業向け融資の決め手は経営者の資質である
次の、金融機関の与信判断に際して、判断材料としての「定量的要素」7割の残り3割を占めるのが「定性的要素」です。
「定性的要素」の中でも最も重要視されるのが、オーナー社長の「お人柄」です。
逆に、例えば、地方銀行の東京支店がメガバンクがアレンジャーとなっている大企業向けシンジケートローンに参加する際、定性的要素はほぼ考慮されません。
与信判断には、決算書のみ、下手をすると有価証券報告書のみで与信が決裁されるかもしれません。
これほどに、中小企業かつオーナー企業の場合、オーナー社長のお人柄が重要視されます。
大企業のサラリーマン社長は、個人保証はしませんが、多くのオーナー社長が融資に際して個人保証を行っていて、オーナー一族も会社と運命共同体です。
また、オーナー社長が取締役会も株主総会も全て決議できるようなケースが多いため、オーナー社長の背負っているものはサラリーマン社長とは比べ物になりません。
中小企業経営者は、融資を受けている金融機関から「おお、この社長、なかなかすごい人やな」と思わせるよう、文武両道、日々精進して、経営者としての資質に加えて、より高い人格形成に努める必要があるのです。