【中小企業の銀行対策】リスケジュールが大きく重たい経営判断である理由とは?

今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関へのリスケジュールの要請は大きく重たい経営判断である理由について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 リスケジュールに早急に踏み切るべきケースは確かにある
2 資金繰り表を元にリスケジュールの妥当性を判断する

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 リスケジュールに早急に踏み切るべきケースは確かにある

業種や業態によりますが、世の中、コロナの影響が収束して、インバウンドがジャンジャン街に溢れるようになった今、「今更、リスケジュールですか?」なんて声が聞こえてきそうです。

確かに、コロナ禍の反動もあってか、多くの中小サービス業は過去最高の売上高を計上するケースが散見されます。
しかしながら、円安に端を発した原材料高、光熱費の上昇、人手不足による人件費の高騰など、売上原価も販管費も増加幅が大きく、増収効果を減殺しています。
また、家計の実質的な可処分所得の伸び悩みによって、消費の伸び悩みの傾向も見受けられます。

中小企業にとって、コロナが収束したからといって、資金繰りが抜本的に改善するとは限らないのです。

多くの中小企業が借入れたコロナ資金の返済が確かに始まっていますが、返済期間は、民間金融機関で10年間、政府系金融機関では最長20年間(実務的にはほとんどが15年間となっています)という超長期に及ぶため、コロナ資金の返済負担が大変で資金繰りが立ち行かないというのは、北出の肌感覚ではあまりしっくりきません。

それよりは、コロナ前からの設備資金然り、運転資金然り、コロナ以前の既往借入金が重たく、資金繰りを圧迫している傾向が見受けられるように感じます。
現実に、中小企業金融円滑化法施行初期段階からリスケジュール状態にある中小企業の場合、リスケジュールの期間は既に10年以上にも達しています。
そのようないわばゾンビ企業がいつまで延命できるのか、いわばゾンビ企業経営者の生き残りへの覚悟が試されているのが今ではないかと北出は考えています。

そうはいっても、北出としては、資金繰り余力が低下してきている中小企業を見過ごすわけにはいきません。
現実には、長期の証貸を定期的に折り返すようなケースが少なくなく、返済のために借入を起こすようなことも現実的には発生しています。
借入返済を優先させるべく、租税効果(税金や社会保険料)を滞納したり、仕入先や外注先への支払遅延が発生するようなことは絶対に避けなければなりません。
また、キャッシュアウトが続く出血状態にある中小企業の場合、事業継続を優先させると共に、資金繰りに頭を痛めていた経営者のマインドをセットして、前向きに営業や現場に注力できるようにするため、リスケジュールが必要なケースは確かに存在するのです。

2 資金繰り表を元にリスケジュールの妥当性を判断する

資金繰りが厳しくなってくることは、中小企業経営者も普通預金や当座預金の残高推移を見れば、なんとなく理解しています。
しかしながら、実際に取引金融機関に対して、リスケジュール要請するのは、現実にはかなりの覚悟が必要です。
真面目な経営者ほど、「今までお世話になってきている銀行に迷惑はかけられない」と金融機関に引け目を感じることもあります。

しかしながら、誰がなんと言っても事業継続が最優先です。
資金が尽きてしまって、「資金繰り倒産」に追い込まれてしまう方がよっぽど様々なステークホルダーに迷惑をかけてしまいます。
さらには、オーナー経営者は、会社に連帯債務を負っているので、家族諸共、会社を運命を共にしてしまいます。

これは絶対に避けなればならないことです。

では、リスケジュールが妥当なものであるかどうかをどうやって判断すべきでしょうか?
その答えは実にシンプルで一つしかありません。
リスケジュールが妥当なものであるかどうかを判断するのは、「資金繰り表」が全てです。
試算表が過去の損益と資産負債の組み合わせを表現しているのに対して、資金繰り表はビジネスモデルをおカネの流れで表現したもので、いわば、会社の「未来予想図」です。
資金繰り表は、通常向こう1年間のおカネの流れをシミュレートするもので、元本返済を進めたら、キャッシュアウトする一方、元本返済を止めたら、資金が繋がるのであれば、躊躇なくリスケジュールです。
一方、すぐに実行できる収益改善策によってキャッシュフローが改善し、返済を継続してもキャッシュが繋がるのであれば、リスケジュールは回避し、返済を続行しながら収益改善に邁進するという経営判断になります。

資金繰り表は基本的に足し算、引き算、掛け算並びに割り算までの計算式で作成できますから、微分積分のような難解な数学は不要です。

中小企業経営者は、リスケジュールに踏み切るか否かというケースだけではなく、経営判断に迷った際には、小学生程度の算数で作成できる資金繰り表で会社の未来予想図を描いてみてはいかがでしょう。

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