【中小企業の銀行対策】延滞とリスケジュールとの違いとは?

今日は、中小企業の銀行対策として、延滞とリスケジュールとの違いについて考えます。

今日の論点は、以下の2点です。

1 延滞は重大な約束違反である
2 延滞とリスケジュールとは天と地との違いがある

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 延滞は重大な約束違反である

銀行取引だけではなく、商取引上の約束違反は、取引相手との信頼関係をいとも簡単に壊してしまいます。

金融機関から長期で証書貸付にて融資を受ける場合、期間(何回で返済するか)、返済金額(月額いくら返済するか)、利率(利息はいくらか)を金銭消費貸借契約証書の中で、明文化します。

このため、例えば、毎月末に元金833千円(それと利息も)を返済するという約束の中、返済用口座が残高不足で口座振替が不能となると、「延滞(エンタイ)」となってしまいます。
金融機関との取引で、最も深刻な約束違反が、この「延滞」です。
「延滞」は信用事故に当たって、金銭消費貸借契約書の条文上では、「延滞」が発生した時点で、期限の利益を喪失してしまい、金融機関は、一括返済を融資先に求めることができます。

もちろん、金融機関としては、延滞が発生した場合、まずは融資先に「返済用の口座に至急入金をお願いします」という返済の督促をするのが第一義なので、いきなり期限の利益喪失で、一括返済を求めることはありません。
しかしながら、1日返済が遅れた時点で、営業店の融資係の「延滞リスト」に取引先名が上がってしまうので、「延滞リスト」に上がった実績が出てしまうと、融資係は(あそこは注意せなあかんで)と圧倒的に評価が落ちてしまいます。

因みに、「期限の利益」とは、毎月25日に返済するという返済条件となっている場合、25日に返済をしなければならないのですが、逆に言えば、「25日より前に返済する必要はない」ということでもあります。
「25日より前に返済する必要はない」という概念が「期限の利益」です。

中小企業経営者は、「延滞」は金融機関に対する重大な約束違反であることを認識しておく必要があります。

2 延滞とリスケジュールとは天と地との違いがある

上記で述べた「延滞」と混同されやすいのが「リスケジュール(リスケ)」です。
混同されがちな「延滞」と「リスケ」ですが、この両者には天と地位の大きな大きな差があります。

「延滞」は約束違反であるのに対して、リスケジュールは、改めて、返済条件を変える「変更契約」に基づくものです。
リスケジュールの一般的な契約は、例えば、令和6年5月26日から令和7年5月25日まで元本返済を0円、毎月25日に利息を支払うといった具合に、契約を結び直すことを言います。

資金繰りの余力が乏しくなって、資金がショートしそうな状況に追い込まれたら、返済日までに中小企業側が取引金融機関にリスケジュールを要請します。
延滞状態になってからリスケジュールをしようとすると、延滞を解消することが前提となるので、中小企業がリスケジュールに踏み切る際には、事前に取引金融機関に要請する必要があります。

リスケジュールを要請する際に、返済を当初からの約束通りに進めてしまうと資金ショートする一方、元本返済を止めれば資金が回ることを明確化した資金繰り表を作成しておくと、リスケジュールをスムースに行うことができます。

因みに、リスケジュール中の中小企業経営者から、「〇〇銀行はサブサブ行で、借入金額も少ないので、〇〇銀行だけ返済してしまいたい」という声をお聞きすることがありませんが、これは「債権者平等の原則」に反するので、全ての取引金融機関にリスケジュールしてもらうのが原則です。

また、金融機関側から積極的にリスケジュールを勧められることは極めてレアなので、中小企業経営者自らが、リスケジュールに踏み切るかどうか、重たい経営判断を行う必要があるのです。

 

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