【中小企業の銀行対策】取引金融機関各行から好感される3月末対策とは?
1 金融機関は、相互に強烈なライバル心を持っている
今日は、中小企業の銀行対策として、取引金融機関各行から好感される3月末対策について考えてみます。
外資系を除けば、国内の金融機関は、ほぼ全て3月決算です。
今日は3月15日。
金融機関の本部は、営業店の各評価項目の中でも、進捗が鈍い営業店に早期達成を促す発破をかけているところです。
営業店部店長(支店長や法人営業部長など)も次席(次長や副支店長とか)も、本部からの叱咤激励(ドヤされている?)に応えるべく、役席以下、担当者レベルに至るまで圧をかける毎日です。
「今日はどこでいくらや?」
朝礼でも、夕方のミーティングでも、「渉外部屋」と呼ばれる外回りの部署では緊張感漂うシーズンです。
他の業界、業態でも、ライバル社とは熾烈な競合が繰り広げられるところですが、とかく、金融機関は、競合他行との競争が熾烈です。
金融機関相互のメンツをかけた闘いです。
「X行にやられっぱなしやないか!」
部店長の役席への怒声が営業店に鳴り響きます。
金融機関の性格上、競合他行にしてやられるというのは許されないことです。
そのような中、中小企業が金融機関各行とうまくお付き合いしていくために、この3月末に於いてどのような点に留意すべきなのでしょうか。
話を進めていきます。
2 残高シェア割を徹底する
複数行と融資取引がある中小企業が金融機関に対して徹底すべき原則が「残高シェア割」です。
先ほども申し上げましたが、金融機関は相互にライバル心が強いので、例えば、メイン行、サブ行、サブサブ行という暗黙の序列がある中で、融資にせよ、預金にせよ、序列が逆転するようなことがあっては、一部の金融機関に対して禍根を残すことになります。
ここで、重要なのが、残高シェア割は融資に関してはわかりやすいのですが、預金にも同じように残高シェア割を徹底すべきです。
具体的に申しますと、融資の残高シェアがメイン行50%、サブ行35%、サブサブ行15%であった場合、3月末の預金末残も、預金残高が1億円であればメイン行50百万円、サブ行35百万円、サブサブ行15百万円となるよう、預金を各行に置くことが金融機関各行への望ましい忖度です。
こうすることで、各行の納得感が得られるばかりではなく、各行の序列を明確化することができます。
経営改善が必要な局面になった局面でも、メイン行が「うちがメインとしてしっかりと支えるから」と言ってくれれば、サブ行もサブサブ行も「メインさんがそこまでおっしゃられるのであれば当行も横並びで協力させてもらいます」という具合に、メイン行を頂点とした協調的なスタンスを各行が取りやすくなります。
万が一、バンクミーティングが必要となった場合でも、メイン行が音頭を取ってくれることで、バンクミーティングの席上で揉めるようなことも回避できます。
もちろん、3月末にかけては預金の動きが大きくなったり、融資に関しても、年度またぎの当貸の実行額をいくらにするかというのが3月末近くにならないと確定しないかもしれませんが、大筋のところで、融資の残高シェアに預金の残高シェアも合わせることが理想的です。
このように、中小企業経営者は、金融機関という組織が持つ独特の特性を鑑みながら、3月末だからこそ、融資取引だけではなく、預金取引も残高シェアに合わせるよう、経理部門に徹底させる必要があるのです。