【中小企業経営者の心得】直系への事業承継のタイミングをXデーとして設定する必要性とは?

今日は、中小企業経営者の心得として、直系への事業承継のタイミングを Xデートして設定する必要性について考えます。

今日の論点は、以下の2点。

1 権力の座から簡単に降りられないのが人情
2 事業承継の最大の課題は円満な銀行取引の維持である

どうぞ、ご一読下さい。

 

1 権力の座から簡単に降りられないのが人情

北出の勝手な肌感覚なのですが、中小企業のオーナー社長は、ある意味、政治家とよく似ていると感じます。
政治家はいろいろな人がいますし、権力の力度合いも様々です。
総理経験者といえども、さっさと政界を引退する政治家もいれば、生涯現役政治家を貫く方もいらっしゃいます。

中小企業のオーナー社長も似たようなもので、代表取締役として取締役会に君臨し、筆頭株主で発行済み株式の2/3以上を握るオーナー社長であれば絶対権力者そのものです。
取締役会も株主総会もいつでも臨時で開催することもできますし、極端な話、会社を全て牛耳ろうとすれば牛耳ることができます。

特に、ゼロから会社を立ち上げ、バブル崩壊、相次ぐ震災天災、リーマンショック、そしてコロナ禍でも会社を守り続けてきた創業オーナー社長であれば、自らの存在が即ち会社でもあります。
会社は、創業オーナー社長であれば、自らの分身であるかのような感じているかもしれません。

そのような権力の座にいる創業オーナー社長が事業承継を考えたとしても、直系の子息に事業承継するケースでさえ、そう易々と権力の座から降りることはできません。
「私の目の黒いうちはまだまだやれる」、「青二才に会社を任せるわけにはいかない」。
口には出さない創業オーナー社長であっても、内心は「わたしがまだまだやらねば」と考えるのが人情というものなのです。

2 事業承継の最大の課題は円満な銀行取引の維持である

とはいえ、まだまだ元気で、事業への意欲も旺盛な創業オーナー社長ですが、60歳を超えてくると、何かと無理が効かなくなってくるのも認めたくない現実です。
「俺は健康そのもの」と思っていても、どこか、体の不調が懸念されてきます。

北出が経験則上感じているのが、特に、子息等直系が事業承継者となる場合には、事業承継は創業オーナー社長が65歳のタイミングで行われるべきです。
もちろん、65歳で会社から完全引退する必要はなく、子息が代表取締役社長、自らは代表権を持った会長として、大所高所から会社の社業発展に尽くせば良い話です。

これも北出の経験則から申し上げるのですが、創業オーナー社長が子息に事業承継する際に、最後までネックになるのが「銀行取引」です。
創業オーナー社長にしてみれば「俺が引退した後も、メインバンクはしっかりと会社を支えてくれるだろうか? 必要な資金をタイムリーに調達できるような会社を維持できるだろうか」という不安が最後まで残ってしまいます。

もちろん、事業承継に際しては、会社がこれまで抱えて込んできた「垢」を可能な限り、きれいにしておく必要があります。
これも北出の経験則ですが、一見、メインバンクからは優良先に見えていても、人的要素を含めた会社が先送りしてきた様々な課題が残されているケースが大半です。
業歴が長く、企業規模が大きければ大きいほど、会社が抱えてきた「垢」は多いのが自然です。

創業オーナー社長は、それら会社が抱えてきた「垢」を明らかにした上で、事業承継のXデーを設定し、 Xデーまでに事業承継を成し遂げるために、一つ一つの経営課題を着実に解決し、「垢」を洗い切らなくてはなりません。
会社が抱えてきた「垢」を洗い流すのは、現世代経営者にとって避けて通れない事業承継への途なのです。

様々な経営課題の中、最後まで残るであろう銀行取引を今以上により円滑なものにするため、これまで以上に、事業承継を前提としたディスクローズの取組を経営陣が行う必要があります。

オーナー企業にとって、事業と会社を守ることは、即ち家を守ることでもあります。
事業と会社を守り、オーナー一族が繁栄し続けるためにも、創業オーナー社長は、早い段階で事業承継へのXデーを設定し、課題解決へのスケジューリング化し、一個一個の経営課題を着実に片付けていく必要があるのです。

公式サイト「子息・子女までの次世代に残せる中小企業の創造」もご覧下さい

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