【中小企業の銀行対策】取引は組織同士、信頼は個人間である理由とは?
1 人事異動の季節到来
今日は、中小企業の銀行対策として、「取引は組織同士、信頼は個人間である理由」について考えます。
折しも今日は、令和5年度の実質スタートの日。
大手企業や金融機関の管理職の人事異動が日本経済新聞の紙面を占領しています。
金融機関の場合、部店長(営業店の長である支店長、支社長、法人営業部長などと本部の役員、部長クラス)の人事異動が告知されます。
中小企業経営者とすれば、得意先、仕入先等で幹部クラスの人事異動を把握しておくことは重要です。
また、新たな異動先だけではなく、カッコ書きで前任の肩書きが付記されているため、その会社の事情を垣間見る中小企業経営者からすれば、その人が栄転なのか、あるいは左遷なのかがピンと来るはずです。
栄転してきた新任の幹部はとかく、前任者を意識することで、ついつい、前任者のやり方を変えようとする傾向があります。
新任幹部が自らのカラーを必要以上に出そうとすると、これまでの前例が見直され、取引関係にある中小企業経営者からすれば新たな方針に戸惑うことも起こりえます。
従って、中小企業経営者からすると、新たに赴任してくる偉い人がどのような傾向の人なのかを知っておく必要があります。
2 金融機関の人事異動に対応する
次に金融機関の人事異動について掘り下げます。
4月1日付の人事異動は、多くの金融機関で実施されます。
特に、今年の4月1日の人事異動は、多くの金融機関がコロナ禍で人事異動を最小限度にとどめてきたこともあって、比較的大規模なものになりそうです。
部店長だけではなく、次席、役席、担当者ベースでも人事異動が発令されるため、中小企業経営者からすると、新旧担当者が交代する可能性が高まります。、
「人事異動なんか関係あらへん。取引は会社と銀行との間やから、誰が担当になろうが知ったこっちゃない」という中小企業経営者がいるかもしれません。
他方、確かに、取引は組織同士ではあるものの、担当者と中小企業経営者との関係はそれはそれで重要です。
どこまでいっても、担当者と中小企業経営者は個人と個人のつながりなので、「こいつはなかなか話がわかるやないか」であったり、「この野郎、気に食わん奴や」であったりします。
とある中小企業経営者が「あの、うちの担当の奴、気に食わへんかったから、この前、どやしつけたったんや」とおっしゃることがありますが、北出は、その中小企業経営者に「そんな大人気ないことは絶対にやめとって下さい」と諌めるようにしています。
担当者は、金融機関の中で、唯一の中小企業経営者の味方です。
担当者が上司の役席に「あの社長、アホで話になりません」とでも報告を上げられたら、金融機関営業店での心証は一撃で悪化します。
資金をお願いするときには、稟議を起こすのはあくまでも担当者なので、担当者を敵に回しても、中小企業経営者にとっては何のメリットもありません。
中小企業経営者の皆さん、もしも、金融機関の自社の担当者が人事異動で交代するようなら、さっさとアポを取って時間を作ってもらい、良好な人間関係と信頼関係構築に注力しましょう。
中小企業経営者は、人事異動の今、このシーズンを無為に過ごしてはならないのです。